サブスクとは?VISION.02
1.「買う」のでもなく「借りる」のでもない新たな仕組み
「暮らす」を考えてみる
わたしたちは当たり前のようにこの社会の中で暮らしています。いつもの時間に起き出して、いつもの時間に働いて、いつもの時間に食事をして、いつもの時間になったら寝てしまいます。
こうした暮らしの中で時に悲しいことや楽しいことなんかを感じながら。
わたしたちがそんな風に当たり前に暮らしていけるのはなぜでしょうか?
その答えを簡単に言ってしまえば、わたしたちが暮らすに必要な物資やサービスがわたしたちの身の回りに当たり前のようにあるからだと思います。逆にいうと暮らしに必要な物やサービスが身の回りにないならば、わたしたちは当たり前に暮らすことができないかもしれません。
では、暮らしに必要な物やサービスとは何でしょうか?それらを昔からよく衣‧食‧住といいます。それら衣‧食‧住という生活面を満たす物やサービスが現代の日本社会にはしっかり用意されています。
ですが、そんななんでも用意されている今の社会システムが(「ものを『買う』ってどういう事なんだろう?」というテキストの中で詳しく述べましたが)少しずつ変化しようとしています。その変化の方向は「共生の時代」を向いています。
局所だけではなく世界の全体を見渡しながら暮らすことがわたしたち自身の暮らしやすさを高めてくれる「共生の時代」はそんな時代です。
わたしたちの暮らしはそんな「共生の時代」の中で展開されています。
「インフラ」を考えてみる
そんな「共生の時代」の暮らしのインフラ=インフラストラクチャーを考えてみましょう。
ここでいうインフラとはわたしたちの暮らしを支えてくれる仕組みのことです。
生活インフラといってすぐに思い浮かぶのは電気、ガス、水道、道路、鉄道、電話、インターネットなどです。
こうした設備やサービスがインフラとされるのはよくわかります。
これらはわたしたちの生活に欠かせない基盤です。でも、こうしたインフラは「共生の時代」に特有のインフラというわけではなく、それ以前の時代からなくてはならなかったインフラです。こうしたインフラをここでは「ファースト‧インフラ」と呼ぶことにします。
ファースト‧インフラが整備されているおかげで、私たちみんながそのサービスの恩恵に浴することができています。これらファースト‧インフラはほぼ公的機関が管理‧運営しておりわたしたちはそのサービスを受ける対価として、そうした公的機関に公共料金としてお金を払っています。なぜそういう仕組みになっているのでしょう?
それはこうしたファースト‧インフラはこの社会に暮らすみんなに同じサービスを届けることを目的にしているので、管理‧運営がとても大掛かりになるからです。公的機関でなくてはとても管理‧運営できません。
ここに「みんなに同じサービスを届ける」というキーワードが出てきました。
しかも公正中立に届けられているので、こうしたサービス全般に関して多くの人は不平や不満を抱くことはありません。
とはいえ、このファースト‧インフラも今では民営の組織によって管理‧運営されています。
どんなに大掛かりで大変なインフラも一旦できてしまえば後の管理‧運営は民営で大丈夫という事ですね。
「買う」のでもなく「借りる」のでもない「ネクスト・インフラ」を構成する新たな仕組み
こうしたファースト‧インフラは、わたしたちが暮らすためになくてはならないサービスですが、わたしたちはファースト‧インフラだけで暮らしていけるわけではありません。ファースト‧インフラがまずあってその上で最初に出た衣‧食‧住といった物資やサービスを各自で調達しながら暮らしています。暮らしのためにそうした物資やサービスを調達する方法が「買う」あるいは「借りる」という行為です。今こうした衣‧食‧住にまつわるモノの調達のされ方を見渡してみると、ほとんどの人が同じようなモノをもっている、商品が遍く行き渡っているようだと感じます。
そうしたことに気づいたわたしたちラクリアーズは、ひょっとしてこれら衣‧食‧住に必要な物資やサービスもわたしたちが暮らすのに必要なインフラとして捉えることができるのではないか?
いや、インフラと捉えるべきではないだろうか?と考えました。そしてラクリアーズは、衣‧食‧住で必要な物資やサービスを、ファースト‧インフラと同じように、インフラとしてサービスすることはできないだろうか?するべきではないだろうか?と考えたのです。
ラクリアーズでは衣‧食‧住に必要な物資やサービスをインフラと捉え、そのインフラをファースト‧インフラに対して「ネクスト‧インフラ」と呼んでいます。
ネクスト‧インフラとしてのサービスを考えるときのキーとなったのが、ファースト‧インフラを考えたときに出てきた「みんなに同じサービスを届ける」というキーワードです。
もっと要点に絞っていうなら「みんなに届ける」です。
ですが、家電製品などは新しい技術が次々と投入されひとつひとつの商品が高価になっていっていく傾向があります。だけどインフラとして捉えるならこれらの商品もどうしても「みんなに届ける」ことが必要です。
そのためにはどうすればいいだろうか?
そこで出てきたこたえが「買う」のでもなく「借りる」のでもない調達の形態「サブスク」でした。
なぜサブスクなのか?と言いますと、上で述べたように特に「住」のネクスト‧インフラは「買う」には高価なものが多くかといって「借りる」では自由に使えないからです。みんなに届けるためには、まず高価であってはいけません。かといって返す事を考えて遠慮して使うようでは呑気に暮らせませんこうした理由から、ラクリアーズが考えたのは「住」に関するネクスト‧インフラである家具や家電製品をサブスクというかたちで提供しようということでした。
そもそもサブスク=サブスクリプションとは「定期購読」というのが本来の意味でした。
新聞や雑誌というと大きな情報源ですが、みんなに配って読んでもらうにはバラ売りではあまりに経済的に不安定で、安心して販売することができない、ならば安定して収入の見込める定期購読という方式はどうかということでやってみたら大変うまくいきそうしてようやく「みんなに届ける」ことができようになったのです。
「借りる」という方法には2つの形態があります。それが
- レンタル
- リース
です。
「レンタル」という形態の特徴は使用期間が短く、対象商品はポータブルテレビとかラジオとか小さいモノが多いということです。メンテナンスなどはありません。とにかくほんの一時期使えればいいだけなので中古品で十分で、その分安価で利用できるようになっています。
「リース」という形態の特徴は、使用期間は1年単位で長期間使用が前提となっています。
対象商品はレーザープリンターのような大きなモノが多く、この形態の利用対象は会社などの法人で主に仕事に使われることがほとんどです。新品である場合もあれば中古品である場合もあります。
メンテナンスはもちろんあります。仕事ユースなので利用料金も高価であることが多いようです。
ですので、いいモノを安価に提供するには「レンタル」という形態でも「リース」という形態でも難しいと思います。サブスクという形態はこのレンタルとリースのいいところをあわせ持つ形態です。
2.サブスクを可能にする仕組み
サブスクという仕組みをとることができる理由
あらためてサブスクというかたちを考えてみましょう。
ある物資‧サービスがサブスクというかたちで提供できるためにはどんな条件が必要なのか?
その条件は2つあります。
- サブスクによって提供される物資‧サービスがみんなに提供できるほどに大量にあること。
- その物資‧サービスをみんなに配るための方法があること。
→ 宅急便に代表される優れた配給システムがすでにある。
例えばファースト‧インフラで提供される物資‧サービスはこの2つの条件を満たしています。
また、そもそものサブスクの始まりである動画や音楽などのデジタル作品の配信サービスも同じです。
そして実はラクリアーズが提供している家具や家電製品もこの2つの条件を満たしているのです。
ラクリアーズの提供する家電製品はあなたがお住まいの地域からお届けします。
あなたがどこにお住まいだろうとそれは変わりません。
言い換えるとあなたにお届けする家電製品はあなたに提供できるに十分な量があります。
サブスクが開く世界のかたち
家具や家電製品をサブスクサービスとして提供できるようになるとどのようなことが起きるでしょうか?
ラクリアーズが想定しているそうしたいわゆる「サブスク効果」は2つあります。
1.サブスク対象製品をめぐる経済システムがより公正で豊かなものになる。
2.サブスク対象製品を使って暮らす人たちの生活がよりシンプルで豊かなものになる。
動画や音楽をサブスクサービスで利用している人は多いと思います。
そうしたサービスを使ってみていかがでしょう?これら2つのことを感じられないでしょうか?
例えば音楽を例に考えてみます。サブスクで音楽を聴くにはインターネットにつながる機器がありさえすればいつでもどこでもどんな楽曲でも手軽に気軽に楽しむことができます。
そのサービスはコンテンツ→配信システム→聴く人、というこれ以上シンプルにできないシステムで動いています。間に発生するマージンは最小限です。そして多くの人に支持される楽曲にはおのずとその対価が反映されることでしょう。それは楽曲とその聴者との間に、いってみれば直接民主主義の様な関係が立ち上がっているかのようです。そこには人間関係‧企業関係など楽曲そのものとは直接関係しない事柄に起因するようななんらかのバイアスなど介在する余地がありません。
そうしたあり方は楽曲制作者たちに対するとても公正なシステムと言えるのではないでしょうか?
そして、そうしたあり方はやがて楽曲そのものの魅力が全体として向上することにつながってゆくのではないでしょうか?
家具や家電製品のサブスクにも実は同じようなことが起きています。製品Aと製品Bがあって、AはBより少し高めのサブスク料金が設定してあるとしましょう。製品Aと製品Bの料金はラクリアーズが考える製品そのものの価値に対応して設定してあります。すると多くの利用者は製品Bではなく製品Aを選択しておられるのです。経済的な判断では製品Bになりそうですが、そうはなっていないのです。
ここがその製品を「所有」するときとサブスクで「使用」するときの大きな違いです。
「所有」するとなると高機能が付加されてある製品Aはそれなりに高価となり、製品Bに対してもはや経済的な意味で競争力をもちません。ゆえに「所有」するとなると多くの人が製品Bを選びます。
ところがサブスクで「使用」するとなると、その価格差はその性能差に敗れるようです。
どうせなら、せっかくなら、ということで製品Aが選ばれているのだとわたしたちは考えています。
どんな製品にもそうした傾向があります。
するとどうなるでしょう?よりいいモノがより多く利用されることで、そのモノの制作者たちの間に、より良いモノを作ろうというインセンティブが高まるに違いありません。
ここでいういいモノとは高機能‧高品質なモノのことです。
そしてそうしたいいモノを使って暮らしている人たちの生活にも変化が起きることでしょう。
なぜなら良いモノは本当に「いい」からです。まずいいモノは性能が高いので同じことをするにも時間がかかりません。例えば食器乾燥機を考えてみてください。何枚もの食器を手で拭くこと(あるいはそのまま自然乾燥させること)と乾燥機の中に入れておくだけのことの違いです。食器を手で拭くことと食器乾燥機で乾かすことを比較するのはズルいと思われるかもしれませんが、いいモノとそうでないモノの間にはこれぐらいの違いがあるのです。
標語的にいうなら「最高機能のモノは時間を生む」のです。
みなさん馬はお好きでしょうか?馬はあんなに大きいのにとても穏やかです。その眼差しはいつもまっすぐで優しさを湛えています。触ると柔らかくてまるで自分を包んでくれるようなイメージが浮かびます。
それはまるでひとつの環境装置のようで、そばにいるだけで心が落ち着きます。サブスクを使用して使用していただけるいいモノはそれに似た感情を使う人に抱かせてくれます。それはその製品に期待する機能を超えるものです。いいモノは期待以上のものを与えてくれます。それは未知の感覚であり、ひとつの驚きであり、そうした感覚を多くもつことがわたしたちの暮らしをより豊かにしてくれます。
3.こうして共生の時代の中で「みんな」が暮らしていく
ラクリアーズはサブスク=サブスクが開いてくれる世界はやさしいかたちをしています。製品をつくる人にもやさしく使う人にもやさしく。やさしさは「誰も傷つけない」ということでもあります。
これからおそらく世界は「共生の時代」を迎えるでしょう。「共生の時代」には誰かだけが得をしたり誰かだけが損をしたりすることがない時代です。もしそうしたことがあれば世界をめぐる情報がそれを是正する動きを提起してくれることでしょう。「共生の時代」は「誰も傷つけない」時代です。
そんな世界では暮らしに必要な多くの物資やサービスがサブスクというかたちで提供されているのではないか?わたしたちラクリアーズはそう考えています。
そして多くの人たちの視線はより高くより豊かなことに向いている。
そうなることで「みんな」がみんなで暮らしていけるようになる。
そんな時代のその先がけにラクリアーズがなれたならと考えます。